2022/10/12

「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」

梅にまつわる諺(ことわざ)

「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」——との言葉をご存知でしょうか?

これは梅にまつわる諺の一つで、梅を栽培する多くの農家が心にとどめている言葉だと思います。

桜の木はとてもデリケートで、剪定する際は枝の切り口から雑菌が入って腐りやすくなります。このためむやみに剪定は行いません。一方、梅の木は樹勢があり、無駄な枝を切っておかないと樹形が崩れ、花実がつきません。

この諺からは、樹木の個性に応じた手入れの重要性が分かります。

梅はとても成長力が強い木です。剪定をしないとみるみるうちに枝が増えていき、かなりの大きさになります。

剪定を怠って木が大きくなり過ぎると、小さい実がたくさんつくなど品質に影響したり、逆に十分な日光が当たらず実がつかなくなったりします。

とても難しい梅の剪定作業

梅の剪定時期は、大きく分けて冬季と夏季の2回になります。

夏季における剪定は混んでいるところを間引いて、花芽に十分な日光を当ててやるようにする補助的な剪定になります。

冬季の剪定は木の休眠期(落葉後)に行う基本的な剪定で、この「本剪定」がとても大事です。

特に冬季に徒長枝(とちょうえ/成長が早く花芽がつきにくい枝)を切り込むのが大切です。この作業によってまんべんなく枝に栄養が送られ、樹勢も良くなります。

剪定の際は、徒長枝と結実枝(けっかし/果実のつく枝)を見分けることも重要です。

実はこの見分け方——どの枝を切るかの判断が、かなり難しいです。

と言うのも、梅の木は「古い枝には実や花がつかない」特徴があります。そのため、古い枝をキチンと判別し、新しい枝が伸びるように促す必要があるのです。

収穫量や品質にも大きな影響を与えるため、梅の剪定作業はとてもデリケートです。
あくまでも個人的な感想ですが、梅の剪定は他の花木と比べても非常に難しいと感じています。

まもなく梅の木も休眠期に入るので、冬季の剪定作業が始まります。
お客さまに立派な梅をお届けするべく、しっかりと準備をしていきたいと思います。